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5/19~20旅行のお知らせ

5/19~20に温泉旅行に行こうと思ってます。
今のところ、関西中心、できれば和歌山那智勝浦温泉に行こうと考えてます。
一緒に行ってくれる人(カップル、女性)募集中です。S1070003修正後
お待ちしております。
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春から夏にかけて

今年の春か夏あたりに混浴オフ会を開きたいと思います。
和歌山県の那智勝浦温泉に行く予定です。

一緒に参加したいカップルさん募集中です。
メッセか書き込みお待ちしております。

あさぎ作小説「終末カグヤ」⑰とあさぎ屋外ヌード

S1070003修正後

夕刻が、最後の断片を、割られ放題の黒い峰へと押し殺した。視界はすっかり薄暗く、ただ月の光は熱狂的なほどまぶしく、地上のものを温度なく燃え上がらせた。
 いいとこがあるんだ。そう、榊は言った。トモカはその誘いのまま、卯野と幼い絢子とに手を振って〝秘密基地〟を出てきた。あの土手の奥、草の下、そもそも隠れることが、有意味なのかはわからない。何にもない山を突然破壊する連中がいるのだから、見つからないようにしていても、いずれはやられてしまうかもしれない。夏休みの思い出が、三十一日の刻限で柔らかく閉じ、時間の樹脂細工の底へ沈むように。
榊の背へ着かず離れず歩くと、あの遠景に見えていた廃墟の都市が、徐々に近くなる。風が丁度よい湿潤を含んで、尖った草の葉先をちらちらと煽る。亡霊の淡くあえかな体は、かつての黒々とした偉大な石の業をはっきりと現してゆき、いくらかあとには、周りに崩れ去ったコンクリートの巨塊、砕かれた道路の骸が点在するようになった。焦げた鉄骨が飛び出し、名も知らない細長い草が群がり、痩せた穂を月光に音もなく揺すっている。二人は、ただ夜の息を吸って、一定の調子で、ただ歩く。呼吸するたびに心臓の奥まで、月光が混入してくるようだった。
 人の気配は、なかった。または隠れ潜んでいるのか。足の遥か底から、何知れぬ微かな振動が、時折響く。月下の目の迷いで、崩落した建物群の間に一瞬、黒い人影が見えることもあった。二人の足音は土から石へ、割れ目と小石を越えて、台風で根こそぎに鳴った化石の巨木のような、高層ビルの跡を曲がった。
「……ついた。ここだ。いいだろ」
 榊が指差した先には、廃墟の折れた柱たちが、一種の遺跡のように不思議な均衡を保って、高く低く立ち並んでいた。柱の数本は斜めに切れ、その断面には土が積もって、例の細長い草や、夜露を含んだ薄黄色の小花が根付いている。端の柱には、蜘蛛が、弱々しい巣を張っていた。その透明質の織物にも夜の光は溜まり、トモカは指されるままに石柱の中央へと進んで、小さく声を洩らした。
そこには、ビルの天井が半分に切られて崩落し、一メートルほどの深さにはまり込んだらしい、平たい穴があった。穴は天然の泉になり、今は床板になった天井板の割れ目の深い隙間から、気泡と、陽炎が踊るような対流の動きとが立ち上っている。月球が手に取れそうに映って真珠色の波を立て、水面には温かな白い湯気があった。「お湯……」トモカは、警戒しながら水面に手を差し入れてみた。少しぬるいが、湯質の滑らかな無色の鉱泉が肌へ快く、微かに硫黄のにおいがした。榊は、トモカの背中の曲線を見、それからあさっての空へと目を逸らした。
「入らないか? ……何、俺は見ない。この石柱の後ろで、見張りをしてる。といっても、のぞきなんか来ないだろうけどな。気にせずに、ひと風呂浴びるといい。元々スーパー銭湯でも造るために掘った跡地なのか、〝あいつら〟の攻撃が湯脈を刺激したのかは知らないけど、俺は、結構上等だと思う。体を拭く布だったら、粗末だけど、卯野のとこから借りてきといた」
「……」
 トモカは、榊が自分を介抱してくれたであろう昨日を、思い描いた。無防備に眠っている自分を造作なく、ごく自然に扱った榊だから、「見ない」と言った限りは見ないだろうと思われた。それが頼もしく、またどこか寂しくもあった。だからといって積極的に見てほしいわけでもなく、複雑に唇を曲げながらも、気は目の前の〝温泉〟に惹きつけられていた。人為の明かりが悉く抹消された、遠く暗く凝った深海のような宇宙が、頭上に余りにも広い。その闇を銀色の隣人が漂い、惜しげもなくわくわくと輝く波を振らせ続けて、地球の水蒸気の爽やかな青さを、海ほたるの燐光のように燃やす。真下の廃墟のただ中に、折れて立ち並んだ石柱と、無残な傷口にも生える草たちと、石柱の影が仕掛け時計のように交錯する、包み込むような湯質の天然温泉と。どれもその青さと銀色との雨に濡れて、水面などはもはや、物質というよりも光波そのもののようだ。

あさぎ作小説「終末カグヤ」⑯とあさぎ屋外ヌード

修正後6

卯野は、紙を丁寧に乾燥用の布へ寝かしてから、表紙の汚れた分厚いスケッチブックを拾い上げた。「君、ええと、トモカさん」
「あ、……はい」
「あなたのことも描いておきたいな。こっちへ座って、僕に顔を見せて欲しい。楽にして、何も話さなくていいから。いや、別に話したいことがあったら、話してくれてもいいよ。……榊、この人をちょっと借りていいか? 竹皮のお礼に、裏にある米と、あと缶詰の好きなの、なんでも持ってっていいから」
 榊は「ああ、いつものな」と言って、ぶらりと、微風を連れて布をくぐっていく。トモカの手を、小さくて丸っこい指が引っ張った。絢子が、「こちらへ、どうぞ」と、たどたどしい敬意表現で、室の座布団を指差している。大人よりも熱く凝縮された体温が、有無を言わせず、トモカの足を座らせた。卯野はひびの入ったプラスチックの筆箱から黒っぽい鉛筆をざらざらと出して、指ではじきながら選び、スケッチを始めた。鳥が枝の間をせわしく飛び回るように、腕が小刻みに、緩く激しく跳ねては流れ、つっかえて、ひと呼吸、途切れ、眠り、また蘇り、猛烈な高速の中にも、トモカへまっすぐ深くまで差す目がある。
広げたスケッチブックから、波間を泳ぐはしっこい魚のように、繰り返し光り覗く。トモカは人形か置き物のように、不動で座っていた。出来るだけじっとしていようと試みたが、桃色の胸のふくらみは、時々震えて、上下した。絢子が、お盆に茶を乗せてきて、トモカ野前に出した。茶色の陶器、誰かの手びねりと見える質素な造りだった。
「……あの」
「ああ、遠慮なく飲んで」
 卯野は質問を聞かずに、鉛筆を横にしたのを目の前へかざし、近づけ遠ざけしながら言った。後ろの方では、榊がなにやら重い物を一袋床へ置く音がし、しばらくたってから別の住居の住民とらしきやり取りの声が聞こえてきた。カーテンの幾重もの薄さのうしろへ、榊の影が、たゆたい歩く。「あの。……どうして、こんな時なのに、絵を造ったり、飾ったりするんですか?」
トモカは、同時に榊にも訊いたつもりだった。例えば〝あいつら〟から逃れるための地下都市でも造るなり、そんなことよりもとにかく生活をするなり、少しでも多くの米や食べ物を生産するなり。こんな絶えかかった世界であれば、そういう〝現実的〟なものだけが幅を利かせているはずではないのか? 竹や竹皮の細工よりも、金工や木工のほうが扱いやすいし生産も早いだろう。彫絵に至っては、食べられもしない、使えもしない〝役立たず〟として淘汰されていそうなものだ。卯野自身だって、空腹で墨にまみれるより、まず少しでも多くの穀果を、とは思わないのだろうか。
 四角い画用紙の角から、卯野の図体にあわぬボタンのような眼が半分だけ見えて、隠れ、「いいね。君はいい絵になるよ」それから、間延びした欠伸をひとつすると、髭の中の唇をもしょもしょと動かした。「どうだろうねえ。こんな時もそんな時も、ないんじゃないのかなあ。その質問はさ、〝人間は絵や美がなくても生きていける〟っていう前提でされてるように、僕には聞こえる。だけど、美しい物のひとつも感じられなくって、夢も見ないとしたら、それって〝人間が生きてる〟っていえるのかな?」
 榊がスイッチをつけたのか、傍で例のラジオが鳴り出した。詩の言葉が次々と、あの幽霊のような崩れた都市のどこかからだろうか、流れてくる。トモカはぼんやりと、そうかもしれない、と思った。別にとりたてて何かを美しいと思ったことはないけれど、それは、どこに行っても誰かが美しい物や楽しいことを次々売ってくれる時代で、飢えを知らずに育った贅沢さかもしれない。
「もしも色のない服を着て、最低限の言葉で、食べ物とセックスだけのために生きるなら、僕にとっては生き残る価値がないんだ。〝あいつら〟が何をしようと、僕は〝生きていたい〟。人間として生きようとすることをやめたら、あのビームで殺されてしまったのと変わらないよ。そんなの、腹が立つじゃないか?……勿論、絢子には価値観の無理強いはしないつもりだよ。絢子が、本や絵なんか要らない、そんなものより食べ物と化粧品がほしいと思ったら、売り払っても構わない。もしも人間というものの定理が変化して、例えば〝あいつら〟みたいなのが普通になっていくとしたら、それも構わない。ただ、僕は、そうは生きられないのでね」たぶん、榊も――と、卯野は付け足して、それから数分は何も話さず、口を固く結んで指先の疾走へと耳を澄まし、――詩人のラジオから羽ばたきが、見えぬ透明な羽ばたきが。唐突に、「ああ、出来た。見るかい。こちらへ回ってごらんよ」と、黒い粉で汚れた大きな手が手招く。「……」トモカはいそいそと立ち、紙の逆側で、目を何度もしばたたいた。「これが、……わたし?」長い間、自分の姿を鏡で見なかった気がする。いつの間にかカーテンの向こうから戻っていた榊が、ひょいと首を出して「うん、あの顔だ。あんたの、あの顔」と、歯を見せた。
 画用紙の中の、女は笑っていた。荒々しく削った輪郭線を、丁寧に梳き直してまっすぐ、斜めに、上に、下に下に、みっしりと密度濃く描きこまれた若い女が。白いワンピースの肩を痛々しく晒し、双眸の彼方に覆いきれない炎を宿しながら、微笑してこちらを見つめている――。

あさぎ作小説「終末カグヤ」⑮とあさぎ屋外ヌード

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 視線、幾十もの虹色の眼が、トモカに集中した。久しぶりに思える感覚、思わず背中が強張る。彼女を〝視た〟のは、トンネルの壁面にびっしりと貼り付けられた刷絵だった。半数ほどが墨一色で刷られていたが、残り半数は例の絞り染めの素と同じなのだろう色絵具が使われていて、それで頭上までも色彩の渦なのである。絵は全て異なる人物の顔だった。記念館の壁のような、目眩がするほどの顔・顔・顔――。
眼差したちから逃げるように壁の際へ視界を下げると、彫りさしの木版がうず高く積まれ、丸かったり尖っていたり、粗かったり繊細だったりする木屑が、秋の野の小路に似て散乱している。卯野は、その傍で、既に作業を始めていた。A4サイズの木版に半紙を重ね、円の動きで竹皮のばれんを滑らせていく。じゃかっ、じゃかっ、じゃかっ、と、小気味良い中に柔らかな韻のある音が、辺りの静寂に馴染んで広がった。榊は具合を確かめるように、その後ろへ立って覗きこみ、絢子は色跳ねだらけのボウルに入った色墨を太筆で掻きまわしている。「……誰の、顔なんですか?」紙の裏に、遠い思い出のようににじみ透ってくる輪郭を、トモカは見つめた。卯野の、関節に毛が生えた色黒の指は、爪を均等に白く光らせながら紙の表に弧の軌道を連ねている。
「わからない」
「知らない、人?」
「そう。写真に知らない間に写り込んでたり、新聞やニュースの画面の背景にいたり、卒業アルバムとかで全然知らない後輩とか……。さあ、できた」
 首を傾げるトモカの前に、版から剥離された女の顔が、墨の匂いを放って現れた。写真のように緻密な画線、けれど卯野の体のわずかな力加減や震えを伝えて、線は流れ、線は走る。髪が短く、まなじりに皺と歪なほくろがある。四十歳くらいだろうか。涙袋が大きくて、肩が骨ばっていて、口は、神様が申し訳程度に書き添えたみたいに小さい。勿論、知らない女性だった。こんな人が、なんでもないいつかの日に、公園で子どもと遊んでいた気がした。買い物をしている時、後ろを通った気がした。
「どうして、知らない人を描くの、……ですか?」
 卯野の目の優しさにつられて、思わず友達口調になり、敬語を不自然に付け足す。卯野の顔は、手応えある出来だ、というように榊に頷きかける。
「どうしてだろうね。でも、何もかもがなくなっちゃってから、無性に描きたくなったんだ。人の顔が。……当たり前のことだけど、同じ顔の人は二人いないし、二度と現れない。似てる人はいるけどもね。ここにある顔も全部そう。全部、僕がどこかで会ってた人達なんだよ。人間が何十億もいた中で、一瞬でも会うことができる人は少ない、……はずなんだ。けど、覚えてなかったんだね。僕は毎日、無造作にその顔たちを捨ててた。だから今は、拾い直そうって思ったのかな。僕と一緒に生きてた人の顔を」
 横合いから聞いていた榊が、改めて、壁と床にある絵の顔へ視線を送り返す。トモカの目もそれにつられ、後を追った。張り重ねられた人間の顔の銀河が、電気の呼吸に合わせて、ほの暗い天井でまたたいていた。「今は、いるかもしれないし、いないかもしれないね」と、卯野は言い継いだ。
「どこかで一緒に、同じ朝日と夕日とを見ててくれると嬉しいんだけどね。でもきっと少なくても、半分くらいはいなくなってるだろうなあ……。その中で、お葬式とかしてもらった人は、どれくらいいるんだろ。知っている人に悼まれてるといいな。僕なんかに何が出来てるかって、そんなことは言えないけど、せめて顔を書くことで、遺影の代わりになってくれるといいんだけど」
 遺影、――という言葉が、トモカの胸に水滴のように落ちた。地下の、埋め立てられた川たちや、廃棄された水処理場から繋がって、足のずっと下でいつも鳴っている水脈の漣が、それを受け止める音がした。
「僕は確かに、この人たちを知らない。でも、絵に描かせてもらう時、なんとなく感じられる気がするんだよ。ほんのちょっとした皮膚の張りとか、凹凸とか皺とか、汚れとか傷とか、表情の感じで……。人間って不思議でね。例え初対面で、ひとことも喋らなくても、本気で見つめてただ、ただ描けば、絵が自然に表してくるんだ。時には、その人自身も知らない部分さえもね。実際やるまでは、知らない人なんて描けるのかな、って思ってたけどね。描いてはじめて、それがわかった」
 卯野の実感を裏付けるように、絵の女の切れ上がり気味のまなじりと、ふくよかな涙袋にほんの少しかかる影は、無言の強い自律性と、やさしさと、凛気のある存在感を漂わせていた。わたしは、……トモカは半分目を閉じて、まなうらの記憶を探った。顔。空白を引っ掻いて、傷痕を作って光が消えていく。誰かの顔が残酷な焼印のように、痛ましい桃色のケロイドのように、そこの奥に刻まれてある。チリチリと腹の底から体が焦げてくるようなのに、その目も、その額も思いだせないのだった。ただのっぺらぼうの化物が、狡い笑みを浮かべて、深い穴からこちらを見ているのだった。
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